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奥州(おうしうの)夷賊(いぞく)蜂起(ほうき)宦軍(くわんぐん)敗績(はいせき) 重而(かさねて)東征使(とうせいし)下向(げかう)条
桓武天皇(くわんむてんわう)平安城(へいあんぜう)の新宮(しんきう)に遷幸(せんかう)【迁は俗字】なし給ひし後(のち)菅原真道(すがはらのまみち)。藤原葛野麻呂(ふぢはらのかどのまろ)等(ら)に
命(あふせ)【「おほせ」とあるところ】て。新都(しんと)の内(うち)に於(おい)て公卿(こうけい)百宦(ひやくくわん)の宅地(たくち)を割定(わりさだめ)て領(りうち)与(あたへ)させ給ふにより。百宦(ひやくくわん)百
司(し)大いに悦(よろこ)び各(おの〳〵)居宅(きよたく)を構(かまへ)て移住(いぢう)しければ。奈良(なら)長岡(ながおか)等(とう)の士農工商(しのうかうせう)も同(おな)じく
我先(われさき)にと新都(しんと)へ引移(ひきうつ)りけるゆへ。都(みやこ)の繁昌(はんじやう)たとへなく。最(いと)賑(にぎは)しく穏(おだやか)なりけるに。忽(たちま)
ち東国(とうごく)より急馬(はやむま)追々(おひ〳〵)に蒐着(かけつけ)。奥州(おうしう)に大熊麻呂(おほぐままろ)と申 夷賊(いぞく)蜂起(ほうき)して郡県(ぐんけん)を刧(おびや)
かし掠(かす)め。其(その)逆威(ぎやくい)猛烈(もうれつ)なるがゆへ国司(こくし)も制(せい)する事 能(あた)はず一 国(こく)の騒動(そうどふ)以(もつて)の外(ほか)にて
候 間(あひだ)急(いそ)ぎ征討(うつて)の大将(たいせう)を下(くだ)し給(たま)はるべしとぞ訴(うつた)へける。帝(みかど)大いに駭(おどろ)かせ給ひ。群臣(ぐんしん)を
召(めさ)れて御 評議(ひやうぎ)の上 参議(さんぎ)紀古佐美(きのこさみ)を征東大将軍(せいとうたいせうぐん)に任(にん)じて節刀(せつとう)を賜(たまは)り高(たか)
田道成(たみちなり)を副将軍(ふくせうぐん)とし。池田真牧(いけだままき)を中軍(ちうぐん)の別将(べつせう)とし安倍墨縄(あべのすみなは)を先陣(せんぢん)と定(さだ)
め宦軍(くわんぐん)一万 騎(ぎ)を授(さづ)け給ひけり。是(これ)に依(よつ)て諸将(しよせう)勅命(ちよくめい)を奉(うけたま)はり花(はな)やかに軍装(ぐんそう)を