Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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法(ほふ)に精(くはし)く。殊(こと)に不測(ふしぎ)なるは身(み)を重(おも)くせんと欲(ほつ)する時(とき)は二百 斤(きん)《割書:三十二|貫目》に余(あま)り。軽(かる)くせんと 欲(ほつ)する時(とき)は六十 斤(きん)《割書:九貫|目》にも足(たら)ず。軽重(けいぢう)意(こゝろ)の欲(ほつ)する侭(まゝ)になり。眼(まなこ)瞋(いから)し気(き)を励(はげま) して向(むか)ふ時(とき)は猛獣(もうじふ)も怖(おそれ)伏(ふし)。色(いろ)を和(やはら)げ咲(わらひ)語(かた)る時(とき)は小児(せうに)も馴親(なれしたし)みぬ。誠(まこと)に古今(こゝん)稀(まれ) なる英雄(ゑいゆう)なれば。朝廷(てうてい)の御 覚(おぼへ)も他(た)に異(こと)にて。常(つね)に内裡(だいり)へ召(めさ)れて衛護(ゑいご)させ給ひけ り。田村丸(たむらまる)は智勇(ちゆう)衆(しゆう)に秀(ひいで)たるのみならず。仏法(ぶつほふ)をも信仰(しんかう)し。殊更(ことさら)観音(くわんおん)を深(ふか)く 尊信(そんしん)せられけるに。一年(ひとゝせ)都(みやこ)の東山(ひがしやま)に遊猟(かりぐら)し。身体(しんたい)稍(やゝ)疲(つか)れければ。山中(さんちう)に一 軒(けん)の草(さう) 菴(あん)ありけるゆへ立入(たちいつ)て憩(いこ)はれしところ。菴主(あんしゆ)と覚(おぼ)しく一人の老僧(らうそう)経文(けうもん)を読誦(どくじゆ)して居(ゐ) けるが。田村丸(たむらまる)の立入(たちいり)腰(こし)打(うち)かけらるゝを見て。経巻(けうくわん)をさし置(おき)。湯(ゆ)を汲(くみ)菓(このみ)を出(いだ)し懇(ねんごろ)に管(もて) 侍(なし)ける。田村丸(たむらまる)其(その)志(こゝろざ)しを感(かん)じ謝(しや)して。そも御僧(おそう)はかゝる人跡(じんせき)絶(たへ)たる山中(やまなか)に只(たゞ)一人 行(おこな) ひすまし給ふ事いとも殊勝(しゆせう)の事かな。何国(いづく)の人にて在(ましま)すやと問(とは)れければ。老僧(らうそう)答(こたへ)て 拙僧(せつそう)は河内国(かはちのくに)の産(さん)にて法名(のりのな)を延鎮(えんちん)と号(がう)し候が。先年(せんねん)不思議(ふしぎ)の霊夢(れいむ)を感(かん)じ