Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 150

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術(じゆつ)を行(おこな)ひけれども何(いか)なるゆへにや敢(あへ)て悪風(あくふう)起(おこ)らず霧(きり)降(ふら)ざるゆへ心中(しんちう)訝(いぶか)りながら 射人(いて)に命(めい)じて京軍(きやうぐん)に向(むか)ひ雨(あめ)のごとく矢(や)を射(い)させけるに。彼(かの)沙門(しやもん)宮司(みやつこ)側(かたへ)の岳(おか)に立(たつ)て 袖(そで)を打振(うちふり)ければ。賊方(ぞくかた)より射(い)る矢(や)飛反(とびかへつ)て賊徒(ぞくと)の方(かた)へ向(むか)ひ。却(かへつ)て賊兵(ぞくへい)を射(い)けるゆへ 是がため射仆(いたを)さるゝ者 多(おほ)く。賊軍(ぞくぐん)大いに駭(おどろ)きこ是(これ)凡事(たゞごと)ならずと恐(おそれ)惑(まど)ひ倍(ます〳〵)乱(みだ)れて 弊(ついへ)走(はし)るにぞ。宦軍(くわんぐん)は弥(いよ〳〵)勇(いさ)み立(たち)大軍(たいぐん)潮(うしほ)の涌(わく)が如(ごと)く追進(おいすゝ)む。其(その)勢(いきほ)ひ決然(けつぜん)として 当(あたり)がたく風(かぜ)は頻(しきり)に強(つよ)く吹(ふき)けるにより。大墓(おほはか)盤具(ばんぐ)高丸(たかまる)等(ら)も敗(にげ)る味方(みかた)に誘(さそは)れて己(おの)が船(ふな) 陣(ぢん)を臨(のぞ)んて敗走(はいそう)しける。然(しか)るに悪路王(あくろわう)は如何(いかゞ)しけん意(こゝろ)昏迷(こんめい)して途方(とはう)を失(うしな)ひ己(わ)が 船陣(ふなぢん)へは退(ひか)ず却(かへつ)て宦軍(くわんぐん)の方(かた)へ馬(むま)を駈(かけ)入(いれ)けるを。田村丸(たむらまる)が麾下(はたした)の勇士(ゆうし)ども追取(おつとり)こめ て馬(むま)より曳落(ひきおと)しおり重(かさなつ)てぞ虜(とりこ)にしける。たむら田村丸(たむらまる)大いに悦(よろこ)び。此機(このき)に乗(ぜう)じて浜手(はまて)迄(まで) 追詰(おつつめ)よと下知(げぢ)を伝(つた)へ自身(みづから)真先(まづさき)に馬(むま)を駈(かけ)させければ。弟麻呂(おとまろ)以下(いげ)の三 将(せう)も諸勢(しよぜい)を 励(はげま)し。ともに浜手(はまて)へぞ追進(おひすゝ)みける。賊将(ぞくせう)高丸(たかまる)大墓(おほはか)盤具(ばんぐ)等(ら)は敗卒(はいそつ)と倶(とも)に浜手(はまて)へ