Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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当世(いまのよ)の活如来(いきによらい)と尊(たつと)み真言宗(しんごんしう)に皈依(きえ)する者 幾億万(いくおくまん)の数(かづ)限(かぎり)もなく。愈(いよ〳〵)空海和尚(くうかいおせう) の法義(ほふぎ)世(よ)に盛(さか)んにぞなりける。是(これ)には相反(ひきかへ)て西寺(さいじ)の守敏僧都(しゆびんそうづ)は。空海和尚(くうかいおせう)に不覚(ふかく)を 取(とら)せんと諸龍(しよりよう)を瓶裡(へいり)に駆(かり)封(ふう)じけるに。善女龍王(ぜんによりうわう)の威力(いりき)にて忽(たちま)ち秘封(ひふう)破(やぶ)れ。さしも の計巧(たくみ)画餅(むだごと)となり。空海和尚(くうかいおせう)の法徳(ほふとく)を知(しる)も不知(しらぬ)も讃美(さんび)しければ。守敏(しゆびん)は憤怒(ふんど)の 念(おもひ)心(むね)に満(みち)腸(はらはた)も劫火(かうくわ)のために燃(もゆ)るがごとく嗔(しん)𠹤(い)の焔(ほむら)消(きへ)がたければ。よし〳〵此上(このうへ)は空海(くうかい)を 咒咀(のろひ)殺(ころ)し鬱憤(うつふん)【欝は俗字】を散(さん)ぜんものと。一時(いちじ)の嗔怒(しんど)より大 悪念(あくねん)を生(しやう)【別本より】じ寺中(じちう)に一 場(ぢよう)の護摩(ごま) 檀(だん)を構(かま)へ上檀(じやうだん)には孔雀明王(くじやくめうわう)を祭(まつ)り藁(わら)の人形(ひとかた)を造(つく)りて前(まへ)に立 注蓮(しめ)を張(はり)供物(くもつ) を調(とゝの)へ護摩(ごま)を焼立(やきたて)念珠(ねんじゆ)揉立(もみたて)。水穀(すいこく)を断(たつ)て一心不乱(いつしんふらん)に祈(いの)りければ。護摩(ごま)の煙(けふり)は空(くう) 中(ちう)に渦巻(うづまき)上(のぼ)り咒文(じゆもん)を唱(となふ)る声(こゑ)は冥衆(みやうじゆ)を駭(おどろか)す許(ばかり)にて物凄(ものすごく)も恐(おそ)ろしかりけり。空(くう) 海和尚(かいおせう)は斯(かく)とも知(しろ)し召(めさ)ず一朝(あるあした)庭前(ていぜん)へ出(いで)て四方(よも)の天(そら)を見給ふに。西寺(さいじ)の方(かた)にあたつて 怪(あや)しき煙(けふり)立上(たちのぼ)り。風(かぜ)に逆(さかふ)て東(ひがし)へ向(むか)ひ靡(なび)きけるにぞ。心 訝(いぶか)り給ひて。私房(へや)にかへりて占(うらなひ)