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て見れば乗(のつ)たる船(ふね)と思(おもひ)しは大なる亀(かめ)にて。其儘(そのまゝ)海底(かいてい)に沈(しづ)み行方(ゆくへ)しれずぞなりにける
浦島(うらしま)奇異(きい)のおもひをなし。土地(とち)の野山(のやま)を見れば故郷(こけう)管(つゝ)の浦(うら)なりけるゆへ心 安堵(おちゐ)て我(わが)
家(や)へ往(ゆき)て見るに家(いへ)の建(たて)ざま異(かは)りて不知(しらぬ)人(ひと)の住(すむ)体(てい)なり。偖(さて)は三年(みとせ)が程(ほど)帰(かへ)らざりしゆへ
に他人(たにん)の住(すむ)なるべし。さらば親族(しんぞく)何某(なにがし)の方(かた)へ往(ゆか)めと其家(そのいへ)へ往(ゆき)見れば。是(これ)も家造(やづくり)有(あり)しに
変(かは)りて住人(すむひと)も異(こと)なり。是(こ)は如何(いかに)とて又 余(ほか)の親類(しんるい)朋友(ほういう)の家(いへ)を尋(たづね)往(ゆけ)ども悉(こと〴〵)く家居(いへゐ)の
さま変(かは)り尋(たづぬ)る人は在(あら)ざるゆへ余(あまり)の不審(ふしん)さに地方(ところ)の人に如此々々(かやう〳〵)の人や有(ある)と尋(たづぬ)れども
更(さら)に不知(しらず)と答(こたふ)。また余人(よじん)に問(とへ)ども同(おな)じく不知(しらざる)よしなれば。倍(ます〳〵)心得(こゝろえ)がたく一村(ひとむら)の人 毎(ごと)に尋(たづぬ)れ
ども知(しり)たる者一人もなきに。杖(つえ)にすがりて腰(こし)二重(ふたえ)になりたる八旬(はちじう)ばかりなる翁(おきな)の来(きた)りける
ゆへ浦島(うらしま)其(その)翁(おきな)を呼(よび)とめ。此所(このところ)に水江(みづえ)の浦島(うらしま)某(それがし)の親族(しんぞく)なる者(もの)を知(しら)れずやと問(とひ)けるに
翁(おきな)不審(いぶかし)げなる面色(おもゝち)にて浦島(うらしま)を左見右見(とみかうみ)奇(めづら)しき事を問(とは)るゝかな。我們(われら)が幼(いとけな)き頃(ころ)祖(ぢ)
父(い)なる者の話(はなし)に。遙(はるか)昔(むかし)此(この)管(つゝ)の浦(うら)の水江(みづえ)てふ所(ところ)に浦島(うらしま)某(なにがし)といふ漁夫(りようし)有(あり)しに一夜(あるよ)何国(いづく)