Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 323

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竹(たけ)に灑(そゝぎ)かゝり緑(みどり)の竹(たけ)班(まだら)に染(そま)り班竹(はんち[く])となりしとかや。倭(やまと)漢国(もろこし)異(こと)に古今(こゝん)時(とき)同(おな)じから ずといへども。人心(じんしん)の誠(まこと)を草木(さうもく)の相感(あひかん)ずる理(り)は一 般(ばん)たり。偖(さて)も良岑宗貞(よしみねのむねさだ)は花(はな)の色(いろ)の 墨染(すみぞめ)に咲(さき)しを見て感涙(かんるい)を流(なが)し。いよ〳〵無常(むじやう)を観(くわん)じ遂(つひ)に髻(もとゞり)を剃払(そりはらひ)ける其時(そのとき)に   たらちねのかゝれとてしも烏羽玉(うばたま)の我(わが)黒髪(くろかみ)は撫(なで)ずやありけん と詠(えい)じ遂(つひ)に僧(そう)となりける。法名(ほふめう)を遍照(へんぜう)と号(がう)し仏道(ぶつどう)を修行(しゆぎやう)して諸国(しよこく)を行脚(あんぎや) し後(のち)に洛東(らくとう)花頂山(くわてうざん)に菴(いほり)を結(むす)び行(おこな)ひ澄(すま)して有(あり)けるに。朝廷(てうてい)へ其(その)道徳(どうとく)聞(きこ)えければ 文徳天皇(もんどくてんわう)睿感(ゑいかん)在(ましま)し僧正宦(そうじやうくわん)を授(さづ)け給ひしゆへ。世(よ)に花山(くわさん)の僧正(そうじやう)とも又 僧正遍(そうぜうへん) 照(ぜう)とも称(しやう)しける。抑(そも〳〵)吾朝(わがてう)の世々(よゝ)の帝(みかど)いづれに愚(おろか)は在(ましま)さゞれども。分(わき)て嵯峨(さが)淳和(じゆんわ)仁明(にんめう) の三 帝(てい)は御 仁徳(じんとく)尭舜(ぎやうしゆん)にも劣(おと)り玉はず。三 綱(かう)五 常(じやう)の道(みち)正(たゞ)しく朝政(てうせい)明(あきらか)におはしまし 八島(やしま)の果(はて)までも豊(ゆたか)に治(おさま)りければ。後代(こうだい)の亀鑑(かゞみ)にとて。其(その)御 代(だい)毎(ごと)の事実(じじつ)を記(しる)し留(とゞ)め 三代 実録(じつろく)と題(だい)して今の世(よ)までも伝(つた)はりけるは難有(ありがた)かりし御 事(こと)なりけり