Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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太鳧(たける)の仇(あた)を復(かへ)して心中(しんちう)大いに怡(よろこ)び殿上(てんぜう)の御簾(ぎよれん)の方(かた)を三 拝(はい)し徐々(しづ〳〵)とぞ退(しりぞ)きける 帝(みかど)甚(はな)はだ睿感(ゑいかん)在(ましま)し。改(あらため)て宿祢(すくね)を階下(かいか)へ召(めさ)れ。以後(いご)は禁門(きんもん)守護(しゆご)の役(やく)を勤(つと)むべき よしの宣旨(せんじ)を下され。執政(しつせい)の大臣(だいじん)に蹶速(けはや)が一 族(ぞく)を追払(おひはら)ひ。其(その)所領(しよれう)の地(ち)を悉(こと〴〵)く宿祢(すくね) に与(あた)ふべしと勅詔(ちよくぜう)なし給ひける。是(これ)に依(よつ)て宿祢(すくね)は思(おもひ)もよらぬ朝廷(てうてい)の臣下(しんか)となり 多(おほ)くの采地(さいち)を得(え)て怡(よろこ)ぶ事 限(かぎり)なく。深(ふか)く君恩(くんおん)を謝(しや)し奉りけり蹶速(けはや)が宿祢(すくね)の為(ため) に其(その)腰骨(こしぼね)を踏折(ふみをら)れたるを以(もつ)て当麻(たへま)の田地(でんち)を。諸人(しよにん)腰折田(こしをれた)と言(いひ)なしけるとなん 宿祢(すくね)と蹶速(けはや)が競力本朝相撲(ちからくらべほんてうすまふ)の起源(はじまり)となりて。其後(そのゝち)朝廷(てうてい)へ折々(をり〳〵)諸国(しよこく)の力者(りきしや)を 召(めさ)れ競力(ちからくらべ)をさせて興(けう)ぜさせ給ふ事とは成(なり)けり。然(しかれ)どもいまだ定(さだま)りたる式法(しきほふ)とても なかりけるを。野見宿祢(のみのすくね)時々(より〳〵)に考(かんが)へて相撲(すまふ)の式(しき)を定(さだ)め。又 角力(すまふ)の手(て)を定(さだめ)ける。所(いは) 謂(ゆる)投(なげ)。緊(かけ)。捻(ひねり)。䇍(そり)。の四手(よて)なり。一 手(て)に各(おの〳〵)十二手づゝの変化(へんくわ)ありて四十八 手(て)となる。是迄(これまで)の 競力(ちからくらべ)は力量(りきれう)の強弱(かうじやく)を競(くらぶ)るのみにして。稍(やゝ)もすれば対人(あいて)を投殺(なげころ)し蹴殺(けころ)しなど