Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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此(この)人物(じんぶつ)の讃(さん)を書(かゝ)しめ給ひ弥(いよ〳〵)潤色(じゆんしよく)せしも此(この)障子(しやうじ)なり。如此(かくのごとく)聖明(せいめい)の君(きみ)にて在(ましま)す上(うへ)に 関白(くわんばく)基経公(もとつねこう)。藤原良世卿(ふぢはらのよしよけう)。菅原道真卿(すがはらのみちざねけう)なんどの良臣(りようしん)補佐(ほさ)し奉られければ万機(ばんき) の政(まつりごと)正(たゞ)しく四海(しかい)昇平(せうへい)にて。万民(ばんみん)業(げう)を楽(たのし)み戸(と)ざゝぬ御代(みよ)とぞ称(たゞへ)ける     都良香(とりようけう)《振り仮名:得_二鬼神奇句_一|きしんにきくをうる》  菅公(かんこう)《振り仮名:一時作_二 十詩_一|いちじにじつしをつくる》条 宇田天皇(うだてんわう)を補佐(ほさ)し奉る名臣(めいしん)の中にも菅原道真卿(すがはらのみちざねけう)は前(さき)にも説(とき)しごとく凡人(ぼんにん)にては 在(いま)さず。不測(ふしぎ)の事ども多(おほ)かりける。其中(そのなか)にも殊(こと)に奇異(きい)なるは彼(かの)都良香(とりようけう)一時(あるとき)初春(しよしゆん)の 頃(ころ)。まだ冴(さへ)かへる正月(むつき)の夜半(よは)ながら。朧(おぼろ)に霞(かす)む月の面白(おもしろ)きまゝ興(けう)に乗(ぜう)じて邸舎(やしき)を 立出(たちいで)其所(そこ)ともなく逍遥(せうよう)し。覚(おぼへ)ず東寺(とうじ)の羅生門(らせうもん)の辺(ほとり)へいたり。柳(やなぎ)の風(かぜ)に吹(ふき)乱(みだ)さるゝ を見て。不斗(ふと)心頭(しんとう)に浮(うか)むまゝ 気(き)霽(はれては)《振り仮名:風梳_二新柳髪_一|かぜしんりうのかみをけづる》 といふ一 句(く)を得(え)心中(しんちう) に。是(こ)は我(われ)ながら名句(めいく)を得(え)たり。此句(このく)に相応(さうおう)すべき対句(ついく)もがなと。稍(やゝ)停立(たゝずみ)て案(あん) を煉(ねら)れけれども。是(これ)ぞと思(おも)ふ対句(ついく)も浮(うか)まざりけるに。忽(たちま)ち羅生門(らせうもん)の棟(むね)に其(その)形(さま)