Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 456

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争(いかで)か見捨(みすて)奉り候べき。小宦(やつかれ)当年(とうねん)八十才。翌日(あす)をもしらぬ露命(ろめい)をかばひ。故郷(こけう)へ帰(かへ)る存(ぞん) 心(しん)毛頭(もうとう)候はず。老(おひ)に耄(ほれ)て御 脚手(あして)纏(まとひ)と思召(おぼしめし)筑紫(つくし)の随従(おんとも)に召連(めしつれ)玉はずば。生(いき)て中(なか) 々 物思(ものおも)ひし候はんより。此(この)水底(みなそこ)へ身(み)を没(とう)じ候べしとて。已(すで)に川へ飛入(とびこま)んとするにぞ田(た)口 辰音(たつおと)慌(あはて) て抱(いだ)きとめ。老人(らうじん)の斯程(かほど)まで思詰(おもひつめ)候へば。万望(なにとぞ)随従(おんとも)に召連(めしつれ)させ給へと願(ねが)ひけるにぞ。公(こう)も 御 承引(せういん)在(ましま)し。さらば兔(と)【兎は俗字】も角(かく)もとて御 船(ふね)に乗(のり)給ふ。春彦(はるひこ)大いに怡(よろこ)び辰音(たつおと)が好意(なさけ)を謝(しや)し ともに船(ふね)へ乗移(のりうつ)りけるにより。宦人(くわんにん)船子(ふなこ)に纜(ともづな)を解(とか)せ。西を臨(のぞ)んで船(ふね)を走(はし)らせける      菅公(かんこう)《振り仮名:遺_二于道明寺木像_一|どうみやうじにもくぞうをのこす》  播州(ばんしう)曽根(そね)手枕松(たまくらのまつ)之(の)事(こと) 斯(かく)て御船(みふね)は追風(おひて)に従(したが)ひ八幡(やはた)山崎(やまざき)をも走過(はしりすぎ)けるに。日和(にわ)変(かはり)て雨(あめ)そぼ〳〵と降出(ふりいだ)し漸(しだ) 々(い)に降増(ふりまさ)りて苫(とま)洩(もる)雫(しづく)も紡績(いぶせ)かりければ。船子(ふなこ)も御 痛(いた)はしく思(おも)ひ。河内国(かはちのくに)佐田(さだ)の里(さと) へ御 船(ふね)を着(つけ)雨(あめ)の霽(はれ)るを待(まち)けるに当所(とうしよ)の長(おさ)真木某(まさきそれがし)菅公(かんこう)御 船(ふね)なるよし聞(きゝ)て。御 船(ふね)へ参(まい)り。余(あま)りの大雨にて候 程(ほど)に某(それがし)が茅屋(ばうおく)へ入せ給ひ。今宵(こよひ)は草(くさ)の蓆(むしろ)に一夜を明(あか)させ