Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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蔭(かげ)より十余人の力士(りきし)顕(あらは)れ出(いで)。八郎を捕(とり)て伏(ふせ)高手(たかて)にぞ縛(しば)りける。継縄(つぐなは)怒(いかつ)て八郎を礑(はた)【口+當は誤記】と 睨(にら)みやおれ八郎。你(なんじ)先非(せんひ)を改(あらた)めしといふを以(もつ)て予(よ)が家人(けにん)に召抱(めしかゝへ)いまだ寸功(すんかう)もなきに過(くわ) 分(ぶん)の扶知(ふち)を与(あた)へしに其(その)恩義(おんぎ)をも不顧(かへりみず)予(よ)が重器(ちようき)を偸取(ぬすみとつ)て賊軍(ぞくぐん)の手(て)へ売渡(うりわた)し剰(あまつ) さへ横舌(わうぜつ)を翻(ひるがへ)して予(われ)を欺(あざむか)んとする条(でう)言語道断(ごんごどうだん)の曲者(くせもの)なり。今 此(この)証拠(しやこ)を見(み)ても尚(なを) 陳謝(ちんしや)の詞(ことば)ありやと。詈(のゝし)り有合(ありあふ)弓杖(ゆんづえ)を把(とつ)て面部(めんぶ)肩背(かたせ)の分(わか)ちなく。力(ちから)に任(まか)して散々(さん〴〵)に 撃(うち)ければ。忽(たちま)ち小鬢(こびん)の上 裂(さけ)て鮮血(せんけつ)迸(ほどばし)り流(なが)れける。継縄(つぐなは)尚(なを)も勃怒(いきどふり)止(やま)ず。渠奴(しやつ)今(いま) 誅戮(ちうりく)すべきなれども。近日(きんじつ)賊徒(ぞくと)征討(せいとう)の出陣(しゆつぢん)すべければ。其時(そのとき)軍神(ぐんじん)の血祭(ちまつり)に首(かうべ)を刎(はぬ)べし それ迄(まで)は獄屋(ごくや)へ繋(つな)ぎ置(おき)厳(きびし)く番(ばん)を付(つけ)て守(まもら)しめよと命(めい)ぜられければ。力士們(りきしら)命(めい)を領(れう)し 安達(あだち)を曳立(ひつたて)て牢獄(ろうごく)へ入(いれ)おき。両(りよう)三人の番(ばん)を付(つけ)てぞ守(まも)らせける。安達(あだち)八郎は元来(もとより)忍術(にんじゆつ)を 熟煉(じゆくれん)しけるゆへ。其夜(そのよ)丑満頃(うしみつごろ)幻術(げんじゆつ)を行(おこな)ひて番卒(ばんそつ)を悉(こと〴〵)く眠(ねむ)らせ牢(ろう)を押破(おしやぶ)り跡(あと) 暗(くらま)して逃失(にげうせ)けり。夜明(よあけ)て番卒(ばんそつ)ども眠(ねむり)を覚(さま)し獄中(ごくちう)を見れば。格子(かうし)破(やぶ)れ八郎は早(はや)