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むる為(ため)にと正(しやう)一 位(ゐ)左大臣(さだいしん)に贈官(ぞうくわん)し給ひ。偖(さて)何者(なにもの)の所為(しわざ)なるぞと緊(きび)しく穿議(せんぎ)し給ふ
に初(はじめ)は曽(かつ)て知(しれ)ざりけれども。種継(たねつぐ)が負(おひ)たる矢(や)に証(しるし)ありて大伴継人(おほとものつぐんど)同(おなじ)く竹良(たけよし)が所(しよ)
為(ゐ)なる事 露顕(ろけん)し即時(そくじ)に官吏(くわんり)に命(あふせ)て両人(りようにん)を搦捕(からめとら)せ給ひ強(つよ)く糺問(きうもん)させ給ふ
に。両人(りようにん)陳(ちん)ずる詞(ことば)なく遂(つひ)に早良太子(さうらたいし)の御 頼(たのみ)によつて種継(たねつぐ)を射殺(いころ)したる趣(おもむ)きを
白状(はくでう)しけり。帝(みかど)甚(はな)はだ逆鱗(げきりん)在(ましま)し即(すなは)ち早良親王(さうらしんわう)を首(はじめ)とし其余(そのほか)一 味(み)の輩(ともがら)数(す)十
人 同時(どうじ)に召捕(めしとら)せ給ひ悉(こと〴〵)く糺問(きうもん)させ給ふに。全(まつた)く親王(しんわう)御謀叛(ごむほん)の企(くはだて)在(ましま)し。先(まづ)種継(たねつぐ)
を誅(ちう)し給ひし由(よし)を白状(はくでう)しけるにより。太子(たいし)の罪命(ざいめい)甚(はな)はだ軽(かる)からず。因(よつ)て継人(つぐんど)竹良(たけよし)
二人を斬罪(ざんざい)して首(くび)を梟木(けうぼく)に肆(さら)し。早良親王(さうらしんわう)を淡路国(あはぢのくに)へ流(なが)され。其余(そのよ)の輩(ともがら)も
罪(つみ)の軽重(けいぢう)に因(よつ)て或(あるひ)は死罪(しざい)。あるひは流罪(るざい)に行(おこな)はるゝ者六十 余人(よにん)にぞ及(およひ)ける。偖社(さてこそ)
天王寺(てんわうじ)の蝦蟇(がま)の奇怪(きくわい)はかゝる騒乱(そうらん)の前表(ぜんへう)なりけりと諸人(しよにん)はじめて覚(さと)りける。斯(かく)て
早良太子(さうらたいし)は追立(おつたて)の官人(くわんにん)に送(おく)られ
て淡路(あはぢ)の配所(はいしよ)へ赴(おもむ)き給ひけるが路上(みち〳〵)帝(みかと)を恨(うらみ)憤(いき)