翻刻
萬の/摘(つみ)菜を加へて此のごとくすべし。遠国盤所尓より。農人
一日の/粮(かて)尓白米一升余も食ふ所あ連と。七合宛の徒も里尓
す連ば二ケ月尓盤はや弐斗余の/粮米(らうまい)のみれり。十一月までも
かくのごとくせば三斗余の米越得べし。古連越右尓いふ。一日尓
一合余の/飢米(うへまい)尓春連ば。二百日/秤(ばかリ)の飯米いてくるものなり。若又
初秋の徒のりちがひ。さまてのきゝんならすは。此分が倹約となり。
家内五人も七人もある家尓て/畜(たくは)へたらは。大分能穀物を
得る事なる扁し。凡きゝん能覚悟盤農尓近き役人よく
/納得(なつとく)し。貧しき民を祢んごろ尓さとさしめ。農人をの〳〵
得心し。はや早田の時よりかたく慎み。食物尓菜や/芹(せり)なづな
ごとき物越加へて。春の飢を恐るゝ事深くは。いか程凶年なり
とも。夏のまへ尓餓死するものあるべから須。只是末の役人此事を
よく/会得(えとく)し。/偏(ひとへ)尓妻子をさと春ことく。真実尓心越用て。いひ
聞する尓あるのみ。
補 按天明三年癸夘よ里五十四年尓して。去る天保七年
丙申大飢饉なり。
〇/凶災(きやうさい)能初/毛替(けがへ)須べき事
凶災丹て田畑とも植付おくるゝ時盤。はやく地利を考へて。
毛替須べし。水尓て作物をそこなはゞ。はやく水尓加満はぬ
《割書:増補 天明三天保|七の後も。とかく》 《割書:より飢饉に及|しものあり。我》
《割書:豊年はまれ尓て。|去る万円庚申》 《割書:藩城下は。三ケ所|/粥廠(かゆこや)を/造(つく)り。極》
《割書:の歳も/頗(すこぶ)る/凶(きゃう)|歎尓して。国尓》 《割書:/貧民(ひんみん)尓施行|ありき》