翻刻
直く尓賜はるべきよし尓て。銀子十〆目渡さ連。尚又郡奉行
抔へ。御自筆尓て御救ひ之儀仰渡さ連。銀子入用あらば。何不ど
尓ても出し遣須べ具。たとへ御手道具尓亭。御う里拂被成候ても。
御調達可被成間。百姓壱人尓ても餓死致させ候はゝ。其方共/越度(をちど)
たるべき旨被仰渡候事。君則烈公違事などにくはし具見へ
たり。人君能仁政。か具阿りた紀ものな里。
〇米穀を/融通(ゆづう)して救ひの手当とする事
大飢饉のせつ。上へ申立/積(つ)み米を出し。又盤銀銭を借り受て。
米を買入て。支配所能民を救ふ盤。/勿論(もちろん)のことなり。又折節その
地より差出すべき年/貢米(ぐまい)か。又盤他所より来合せたる米穀な
ど阿らば。志ばらく留め置て救ひ米として。あと尓て言上尓及び
折越以て/償(つぐな)ひ/収(をさ)むべし。上尓在て数月の間。/収納遅(しゆなふをそな)はるといふ
まで尓て。百姓の上尓ては数萬人の/露命(ろめい)を徒なぐことな連ば。/縦(たと)
ひ御/咎(とがめ)を/蒙(こうむ)るとも。/牧民(ほくみん)の官たるものゝ本意なるべし。〇宋
の/乾(けん)道七年。/饒(志やう)/州(しう)旱尓て/傷(そこ)ねけ連ば。/賑濟(すくひ)を/?(とり)/書(はかり)希る尓。
/知州(ぐんだい)王/秬(きよ)申立て。/會子(ぎんさつ)五萬/貫(ぐわん)を借りて。米麦の数を/販(かひ)
/糴(い連)て。民尓安く売りあたへ。その/價(あたひ)尓て又買入て。江州乃
旱傷尓依りて。ま須〳〵本州の/義倉米(ぎそうまい)四萬四千餘石越
/指置(さりゆく)し。また/上供米(ごねんぐまい)六千五百餘石越/截留(きりとめ)おきて。/本手(もとで)
《割書:増補 去る丙申|のとし。三州の一》 《割書:銭をたまはりし|古とあり。阿り》
《割書:小廣。/自(みづか)ら村野|を/巡(めぐ)り行き。飢》 《割書:がたき用心と|いふべし》
《割書:民を見かく連ば。|その場尓て米》