翻刻
とかく国をたも川ものは。人命を貴び。人心を得るを先と須。民ありて
国あり。民の為尓は損なる事をしても。/終(つい)尓は/得(とく)となるべし〇社倉
義倉尓貯へ置べきもの。米尓かきら春。麦尓てもよし。麦は米より
/價(あたひ)賤しきのみなら春。壱俵の食不とんど。弐俵の用をもゐ春べけ連ば。
利沢多かるべし。其他/粟黍稗秈菰(あわきびひへとぼしまこも)米など。土地尓宜しき物を
作りて。貯とせば。ま春〳〵價少くして。利沢多かるべし。いか尓といへば。米
麦とちがひ。食ふて味あしく/鬻(ひさ)ぎて價よからざるゆゑ奸吏も盜
事なく。国用不足の時尓至りて。利をいふ役人も。倉を開て拂ふ古と
□つるべし。されど稗の類は。味なくして。直も賤しきものゆゑ。
百姓も作る事を好ま須。ひと通りのいひ付尓ては。作らざるべし/水府
(春いふ)
尓ては。御年貢の内尓。米の代り尓少々づゝ。稗を納しめゐふゆゑ。百姓もやむ事を
得春多くつくるときけり。善法といふべし。民は遠き/慮(おもんばかり)なきものゆゑ。救荒
の為などいふては。心付ましけ連ば。かゝる法を用ひゐひしなるべし。定て/黄門(くわうもん)
義公などの御考なるべし〇穀尓ついて。救荒の備と須べきもの。海草尓志く
はなし。其類多しといへど。價至て賤しく志て。数十年置て。/朽腐(くちくさ)連須。食
して毒なく。飯尓/?(まぜ)て大尓助となるもの。荒和布尓。志く盤なし。我藩尓も
百餘万把も。畜へゐひしかば。此度大尓救荒の助とな連り。/大抵(たいてい)弐十万把尓て。
米壱万俵の用をなせば。海国第一の物たるべし。其土尓生ぜ須。外より買入ても
平生ならば。至て賤價なるべし。其外/昆布(こんぶ)以下土地尓多き物を。貯ふ
へし〇/薩摩芋(さつまいも)多く出来る所尓ては。干して/粉(古)尓しおけは。何年尓ても