翻刻
といふべきなり。故尓国天下能阿るじたらん人盤。常尓その用意
あり度ことなり。〇/黒羽(くろは)能鈴木武介といふ人。物せし/農喩(のうゆ)
尓曰。大平以来。寛永十九年壬午きゝん。さて三十三年を/経(ゑ)て。
延寶三年乙夘きゝん。古連よ里五十七年を過ぎ。享保十七
年壬子きゝん。このゝち五十一年ありて。天明三年癸夘きゝん。
是にあひし人盤今尓多し。此凶年能難度々ありし事
かくのごとし。扨その年数を計しに。近希連ば三四十年の間
あり。遠具とも五六十年能内尓は来る事と心得。今尓も
来まじき事にあら須と思ひ。強く恐連。此事をつねに
わ春連須。農業を一途尓はけみ勉て。穀物を余し/貯(たくわへ)る
ゆう尓心掛。少しも怠るべから須。このきゝんは人間世界の大変
なり。此時尓当り亭人能死須ると活る登盤。唯手あ亭の
なきとあるとによるのみ。手当能貯なきとき盤。じつ尓あや
うき事也。〇農喩尓。延寶三年より五十七年を扁て。享保
十七年能きゝんと阿連ど。元禄十四年より享保六年迄
能間。/米価(べいか)能高かりしこと。/太宰(だざい)純(じゅん)が/経済録(けいざいろく)尓と見へ。享保
より天明ま亭能間尓も。寶歴五年乙亥東国北国大飢
饉尓亭。餓死能ものも多かりしこと。/建部(たてべ)清菴が民間
備荒録尓見へたり。かくのごと具まる亭四五十年豊作つゞき
亭。きゝんのことなしといふ事はなしと思ふべし。さ連ば