← 前のページ
ページ 402 / 461
次のページ →
翻刻
十五 大矢(おほや)野 ̄の孝子 《割書:本書の此伝は人見|友元老つくれり》
肥後の国 天草(あまくさの)郡大矢野の今泉村と云ところに喜左衛門
となんいひてよく父母につかふる民あり妻も又しうと
しうとめに孝なりもとより家まづしきにちかごろ
しきりに年あれければをのれ夫婦はくふべき
物もなけれどちゝ母の食物のみはとかくしていとなみ
出ぬかのとの酉の年国又大きに飢饉(ききん)す喜左衛門
父母にこひて長尾といふ山にうつろひ住て薪(たきゝ)を
とりて人にひさきくづわらびをほりて食とすをなし