翻刻
【右丁】
【上部図中の台詞】 【本文】
寿(じゆ)の要(かなめ)なり○児童(こども)もそどくする
詩経(しきやう)の洪範(こうはん)のへんに人に五ッのとく
《割書:〽われよくわが| こうぜんの》 ある中にて寿(じゆ)を上とするとあり
《割書:きをやしのふ| あへてとふなにをか》 しかれば聖人(せいじん)も長寿(ちやうじゆ)なるをたつとみ
《割書:こうぜんのきといふ| いはくいひがたし》 玉ひし也人は必(かならず)養生(やうじやう)して長寿(ちやうじゆ)を保(たもつ)べし
《割書:〽よし〳〵今日は》 ●是(これ)より末(すへ)には長寿(ちやうじゆ)養生(やうじやう)の秘伝(ひでん)胎内(たいない)
の男女(なんによ)をしるでん又はへん生(じやう)男子(なんし)の奇術(きじゆつ)を記(しる)せり
○長寿養生秘伝(ちやうじゆやうじやうひでん)
《割書:それ| まで》 今より《割書:安政|五午》廿四五年いぜん常州(じやうしう)の人
《割書: じや》 のうかのいんきよなりとてらくはつの翁(おきな)名
【左丁】
を覚斎(かくさい)といふがはじめて尋(たづね)来(きた)り書画帖(しよぐわでう)をたのみたるゆゑ即座(そくざ)
にしたゝめあたへたるを大に悦(よろこ)びかれ是(これ)物(もの)がたりする口(くち)ぶり少(すこ)しは
文字(もじ)もあるやうすなれば常陸(ひたち)の古跡(こせき)など問(とひ)たる話(はなし)のつひでに翁(おきな)
謂(いひ)けるは養生(やうじやう)するに吸霞(すゐが)の術(じゆつ)といふことありさやうのこと書物(しよもつ)には
みえ申さずやとたづねしゆゑ京山 浅学(せんがく)ゆゑさることは見当(みあた)ざれども
死気(しき)を吐(はい)て生気(せいき)をとり又は日(ひ)を嚥(くらひ)霞(かすみ)を飱(くらふ)といふこと仙家(せんか)の術(じゆつ)なりと
圓機活法(えんぎくわつほふ)の神仙(しんせん)の部(ぶ)にみえたり吸霞(すゐが)の術(じゆつ)とは霞(かすみ)を飱(くらふ)の術(じゆつ)な
らんといひければ翁(おきな)いかにもさやう也今より七 年(ねん)いぜん我(われ)七十一 歳(さい)の時
備前(びぜん)の国(くに)より出たりといふ行脚(あんぎや)の老僧(らうそう)を一宿(いつしゆく)させしにその夜(よ)
大雨(たいう)ふりてあくる日より川留(かはどめ)にて老僧(らうそう)を四日とゞめしうち徳僧(とくそう)なりし