翻刻
【上段】
御ごた〳〵との御文みるのもいやに
おはしま候なれどはいしほゝ
せんしはにくふぞ〳〵はたくさらと
御ゆらせみなしおそれ入江可に候まゝ
もふしばしんに御ゆらせは永代よし
/岡丁(おか)になつれ度おたひの人の
/其(その)/癖(くせ)にわる/鯰(なまづ)るく/弁天(べてん)して/発余(しよくわい)を
/晩(ばん)から/安宅(あたけ)だしお屋しきさんの
やぐら/下鐘(したかね)つき/堂宮破(どうみやこわ)しなり
/多(おゝ)くの人中はぢもせずゆすり
がたりれ/性悪(しやうわる)を/聞(きい)てとむねを/佃(つくだ)丁
どこの二/階(かい)へゆるふとゝもじやまの
/宿(すゆく)にされなんすわづかばかりの/花(はな)
川戸まけばぢまんしで/世直(よなを)しと
下付合がよいいゆへに/焚付(たきつけ)られて
/燃(もへ)あがり/焼(やけ)ぼつくらひにて
御かはひら成々ても/神々(かみ〳〵)/様(さま)や
/聖天(せうでん)町田丁にごぞる/法印(ほういん)さん
お/守(まもり)お/札(ふだ)でばちを/的(あて)ふうじこめ
なゝまゝ/要(かなめ)さんの下に/尾鰭(をひれ)を/縮(ちゞめ)
/堅(かたく)しんぼうなそれくどふも〳〵此すへ共
かならずいゆらそなきやう神かけ
ねんじほゝこれでいよ〳〵
めじるしと
畷しき 万代屋内
なまさんへ ゆたか
おとゝひござれ
【下段】
ばた〳〵文して申上ほゝすぎし
二日の/初会(しよくわい)よりゆり〳〵と御めに
たり家蔵こはし幾地のうへ
はなしわたしが田町以/打(うち)あかし
/衣紋(ゑもん)づゝものほれこんで/旦那(だんな)の
手まへやかみぬのするを付こみ
ぐら〳〵と十月一はいかよひつめ
まいらせ候へどもおまいは/狐(きつね)に
■■で/逃(にげ)かくれたり/野宿(のじゆく)をなつれ
大道中へ/伏(ふし)み丁どつちの/角(すみ)たづね
ても/私(わたし)がゆると逃るのは/鯰(なまづ)るい身の
勝らぐらと御そげすみもあらん
なれど/水道尻(すいどうじり)をあび候江戸つ丁には明く
候へ共かしまでは名を/揚屋(あげや)丁きのふ
京町さと明れて地もぐりぶしの婦るひ
/声(こへ)をだいほゝへばかた以石/坂蔵(がきくら)の
/壁鬼(かべおに)のやうなる/尾(かはら)まで/蔵(おつこち)に/成(なり)候まし
御まへへつなれなき御事ばかり/烏(からす)の
仲の丁はあれどわするゝ/隙(ひま)はこざなく候ゆへ
火事きやうに/燃立(もへたつ)おもひけしな候まゝ
/土蔵(どぞ)〳〵こしまき迄御/取崩(とりくづ)し成/色(いろ)よ記
御兵事ねかひひゝなまづはぐわら〳〵
ゆり度あかし
けふし
お記のどかくへくまいる
奈海そり