翻刻
【右丁】
蓴(じゆん) じゆんさい ぬなわ《割書:大和本草に|沼縄の意なり》
欠盆草(けつぼんさう)《割書:附|方》 露葵(ろき)《割書:釈明時珍引|顔氏家訓》
大和本草に城州 嵯峨(さが)の大沢(おほさわ)伏見(ふしみ)宇治(うぢ)の
池(いけ)に多(おほ)しと云(いへ)り諸国(しよこく)古(ふる)き清水の池(いけ)にあり
春月(はる)宿根(ふるね)より生(せう)し水面に浮葉(うくは)は莕菜(けうやう)【葉ヵ】
《割書:あ|さゞ》に似(に)て円(まる)く欠(かけ)なく茎(くき)は葉(は)の中心に附(つけ)り根(ね)
は細(ほそ)き縄(なわ)の如(こと)く赤褐色(うるみいろ)泥中(でいちう) ̄に延引(ゑんいん)す夏月(なつ)水
上に出(いで)て花(はな)を開(ひら)く弁(べん)細(ほそ)く紅色(あかいろ)なり茎葉(くきは)嫩(わかき)
ときは粘滑(ねんくわつ)あり
【左丁】
水藻(すいさう) も かわも かわなぐさ
江湖(こうこ)池沢(ちたく)の水中(すいちう)にある物(もの)の総名(さうめう)を云(いふ)なり
馬藻(ばさう)《割書:集解|時珍》 やなぎも さゝも ながも 菹草(そさう)《割書:救荒|本草》
春月(はる)水底(すいてい)より生(せう)す葉(は)は柳(りう)《割書:やな|き》に似(に)て長(なか)く周辺(めぐり)に皺(しは)あり水上に出(いで)梢(こすへ)に一寸 許(はかり)の穂(ほ)を生(せう)し
水上に出(いで)て小砕花(せうさいくわ)を攢簇(さんぞく)す形(かたち)眼子菜(がんしさい)《割書:ひる|も》に似(に)たり又(また)細葉(ほそば)長さ一寸 許(はかり)の物(もの)あり
聚藻(じゆさう)《割書:集解|蘇頌》 ふさも きんぎよも くじやくも《割書:江|戸》
江湖(こうこ)池沢(ちたく)の水中 皆(みな)あり茎(くき)微(すこし)紅色(あかいろ)にして長さ三四尺 毎節(ふしごと)に細(ほそ)き枝葉(えたは)茎(くき)を還(めぐ)りて
対生(たいせい)す茎頭(くきのかしら)に長(なか)き穂(ほ)をなして淡紅(うすあか)花を開(ひら)く金魚(きんぎよ)《割書:通|名》鯉(り)《割書:こ|ひ》鯽(そく)《割書:ふ|な》等(とう)好(このん)て卵(たまご)を
著(つく)る物(もの)なり
一種 たちも
武州 下石神(しもしやくじ)三宝寺(さんほうじ)の池辺(ちへん)にあり根(ね)は泥中(ていちう)にありて茎葉(くきは)水上に出(いて)繁茂(はんも)す形(かたち)
聚藻(じゆさう)《割書:きんぎ|よも》に似(に)たり
【二行二字目~「じゆんさい」は書き直した跡有】
【六行十二字目~「清水」のルビを消した跡有】
【二十一行下から五字目「等」は別の字を消した上から書き直している】