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地にくふ也猟師此鳥をとらんとてはまづ巣を尋出して其まはりに
枯草を集めて火をたけば母は煙のたつを見て子どもを焼じと
巣の上に翼をひろげて其火を扇ぎけさんとす火はあふがれて弥燃たち
母の翼を焼がゆへに立事を得ざるを猟師近付て取者也是ゑりあゝのゝ
記録に見えたり燕の子を巣立る才覚は真に不思議なれ共心を付る
人稀也巣をくふには必人屋を求むる事は人を便りとして敵を防ぎ
子どもを異儀なく巣だてんが為也又巣の体を見るも奇特也柱もなく
下地もなくして壁をぬる也土計にてはたまりがたきが故に草を交へて
すさとする也泥なき所なれば水辺に行て幾度も翼を浸して
𡋯りに滴で終に泥となして用ふる也さても奇妙なる才覚哉彼
小さき鳥の身に加程の才覚ある事は何事ぞ御作者の御教へに
非ずんば争か叶べきや此鳥を先として諸の鳥の巣をくふ体を見よ
何れも其用に随て相応の姿なり又卵をあたゝむるを見るに雌雄
互に其所作を分ちて彼往て食を求むれば是来て卵をあたゝめ彼
出て餌を求むれば是は還てかいこをあたゝめかわる〴〵労しかはる〴〵
休ずる事真に驚に足れり野渓を住家として牛馬を飼ふ牧士の
いふ事あり牛群りて子を巣立る所に猛獣来て其子を喰はんとすれば
【枠外左 初巻四十二】