翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

翻草盲目 - 翻刻

翻草盲目 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

【右丁】 千里鏡(とふめがね)を呑と見て。蛮内(ばんない)を産(うめ)り此もの 生長(ひとゝなり)して。和漢(わかん)の書(しよ)を読(よみ)元と遠(とふ)目鏡の 生(うま)れ替(がわ)り成や。遠き紅夷(おらんだ)の本 草(そふ)まて せぐり。【注①】世間の医師(いしや)を小児の様に罵(のゝし)り。己れが 才に任ての我 意(まゝ)者 成(なり)しが。此世を早仕舞 と出かけ。遠き冥途(めいどゑ)の旅(たび)立し地獄にては。 かねて見る目 嗅(かぐ)鼻(はな)がかぎ出し。今日蛮内 といふもの来(きた)るべしとのこと。閻魔王(ゑんまおふ)へ奏(そう) 【注① さぐり。さぐりを入れる。】 【左丁】 すれば。閻(ゑん)王兼て蛮(はん)内めは何によらずけな す奴なれば。皆々かれが弁舌に言ゝまかされぬ  やふにと。十王供生 獄卒(ごくそつ)【注③】共。冥官(めうくわん)悪鬼に至る まて。かたづを呑て待(まつ)所へ。蛮内(はんない)は糸瓜(へちま)とも 思はず。獄卒に誘(いざなわれ)れ【語尾の重複】大王の前に坐せば。 閻王は何でも知恵を抭(さぐら)【注②】れまいと。出もせぬ 咳ばらひを二ツ三ツし。《割書:ヤア》いかに蛮内 娑婆(しやば) にて名もなきものに漢(かん)名を付 偽(いつわり)り。【語尾の重複】万人 ̄ン 【注② 「抭」に「さぐる」の意は無いので「探」の誤記か。「柼」ヵ。意は「引きずり出す」】 【注③ 「十王 倶生 獄卒」ヵ。字形は「倶」ではない。同音の「供」を当てたか?】