翻刻
【右丁】
を小児([こ]ども)の如く思ひ。何によらす大 言(けん)をぬかす
其罪(そのつみ)大(おゝ)ゐ也。《割書:サア〳〵》夫にも言訳有也と。高坐(かふさ)を
たゝきたて。弱(よわ)身を見せぬ有 様(さま)に。蛮(はん)内
少しも騒(さわ)がす。呵(から)〱(〳〵)と笑ひ《割書:我》娑婆(しやば)にて。
万人を小児の如く思ひしも。万人我おらが
才に及ひなき故也(ゆゑなり)。又名もなき物 漢名(かんみよう)
蛮名(はんめい)を付しも。未(いまた)世 俗(そく)知らざる故(ゆへ)われ其
名を改め。本 草(そう)諸書(しよしよ)に引 当(あて)号(なづけ)し也。
【左丁】
是世 界(かい)俗(ぞく)多き故也。万人 周(あまね)く我をそし
る者。喬木(きやうぼく)は風に悪ると言ふに同じ。我より
も大王が分らず。人を治んと欲(ほつす)る者は。善(よく)先
己を治む。預弥国(あみこく)【注】を司(つかさ)どり一世界の外に
地獄と言ふ別世界を預る身にて。漢(から)風の
九罭(きうこく)衮衣(こんい)を着(ちやく)し。十王俱生に至まで。皆□【々ヵ】
唐風(からふう)の衣を着し。其身は釈迦(しやかに)如来の
支 配(はい)を爰。天 竺(ぢく)の蛮服をも着すならば
【注「預弥国(よみこく)」=よみ(黄泉)も国。人の死後、その魂の行く所という。あの世。振りがな「あ」は誤記ヵ】