翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 34

ページ: 34

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大臣座をたつて床に入は。筍斎もおなしく枕をならふ。筍斎 いひよらんよすがもなく。何と女郎様は何歳(いくつ)ぞと問(とふ)。上の句の 文字(もし)あまりで御ざんす。十八でおはすよ。にくのこたへやとほと〳〵 とたゝひて。十八公(しうはちこう)の粧(よそほひ)松(まつ)の部(ぶ)にもたぐひは。御ざなひといへは。是 は身に余(あま)りまするおことばの露玉かづらの草のたねが。何とて か松におよびませうと卑下(ひげ)するもいとをし。うちつけなから 何れの国の誰(た)が世にか種(たね)を蒔(まゐ)てかゝるうつくしき蔓(かづら)は生(をひ)出けん といへば。いかゞははねの松ならば答(こたへ)もせめ。うきふししげき呉竹(くれだけ) の里より。よの住うきにすさめられて。此つとめの身と成侍ふと。しみ 〳〵と語るに伏見の生(うま)れとはおもほへながら。沢田の水の浅(あさ)くは たどられぬ言葉(ことば)づかひ心にくし。力もあらばねびきにと思ふ心の萌(きざす)は げに深きえにしなりや。枕(まくら)に立し火影(ほかけ)の屏風(びやうぶ)に小町が 侘(わび)ぬればの歌有。筍斎あだ口にひとりごつ   わびぬれば身をじゆんさいの根(ね)をたえて といひけれは女郎とりあへず   さそふ水(すい)あらばいなんとぞおもふ とつけけり筍斎 尚(なを)きもをけし此道をさへ心得たるやさし さ。よし水 草(くさ)の水くさくとも。我すく道のよき友(とも)ぞと 此後は大臣にさへかくれて。ひたすらかよひけるほどにつゐ に根引(ねびき)の玉かづら。命(いのち)をかけてなづみしより大 臣(しん)を頼 て家のつまとさだめ。男だてをやめけるぞとりへなる 新竹斎巻之二