翻刻
新竹斎巻之三
一 深草(ふかくさ)の馬思へば宇治川(うぢがわ)の先陣(せんぢん)
五月五日 折(をり)しりかほの雨(あめ)のつゞき。宇治(うぢ)川の魚(うを)つりに友(とも)どち
ひとりふたりしていきぬへる西の京に女ありけり青(あを)まめ売(うり)の
をのがじゝ誘(さそひ)行に目覚(めさめ)ていとくらきより出。ほり川は音(をと)にしり
て水ゆく方の南(みんなみ)に歩(あゆ)む。五 条(でう)渡(わた)りの夕がほも黄昏(たそかれ)ならでお
ぼつかなく。惟光(これみつ)に火縄(ひなは)めしてたはこまいつた所よとけふりを
ふけば。よこ雲(くも)のはるゝそなたにるしやな仏 友(とも)の男
耳塚(みゝづか)ぞだまつてゆくなほとゝぎす
やごゑをかくる大 篝(かゞり)。大ひの弓にちゑの矢数(やかず)いざ通(とを)りかけ見てゆかん
いてきては娑婆(さば)八千の大矢かす火宅(くわたく)の篝((かがり)つみのきえがた
【参照資料:国会図書館デジタルコレクション>浮世草紙刊行会叢書>第1巻>新竹斎>巻之三-一 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953502/170】がほ