翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 4

ページ: 4

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用(よう)に立(たつ)るといふ事とぞ。此ものも家風(かふう)を仰(あふひ)で。歌(うた)物がた りかんな書(ふみ)に眼(まなご)をさらし。其道に枕(まくら)をくだくはゆふに やさしきわざなりかし。春のながめのつれ〳〵を過(すぐ)し 花ゑみ柳(やなぎ)みどりして。世(よ)にある人々けふはきよ水(みづ)へ。明(あ) 日(す)は仁和寺(にんはし)へと。思ふどち打むれて。心々行に。うかされ 筍斎(じゆんさい)もねめ介をぐして。いつちと定(さだめ)たるかたなく。つ ま さゝきにあなひさすれば。たれかいひし春(はる)の色あるひん がしにあゆみ。祇園(ぎをん)の御 社(やしろ)にまうず。げにも桜(さくら)の八 重(え)一 重(え)ちりもせず咲(さき)ものこらぬ。日ざかりの朱(あけ)の玉垣(たまがき)神さび て。参詣(さんけい)の貴賎(きせん)きざはしを諍(あらそふ)。筍斎(じゆんさい)も人とおなじ 〱。神前(しんぜん)に拱(こまぬい)て願(ねがひ)をつぶやく。南無三 社(じや)牛頭天王(ごづてんわう)本地(ほんぢ) 薬師如来(やくしによらい)。親仁(おやぢ)竹斎(ちくさい)こそ。一 代(だい)薮医(やぶゐ)に朽果(くちはて)侍ふとも我 には親まさりの妙(めう)を示(しめ)し給へと。ことくどく再拝(さいはい)し立(たち) のくさまに。給馬(ゑむま)をみる。かな文(もん)字のたほやかに。何氏(なにうぢ)の女十二才八才 と有 少女(しやうぢよ)の業(わざ)にはいとめづらしく。其外はかぞへつへくも非(あら) ず。西(にし)の柱(はしら)に東(ひがし)むきて。ひとりの大の法師(ほうし)。つらたましひ恐(をそろし) きが。ゆん手(で)に水瓶(みづかめ)をさゝげ足もとに土器(どき)【左ルビ「かわらけ」】をふみくだきた るを。たくましき武士(ものゝふ)のしとゝいだき付たり筆勢(ひつせい)えも いはれず。筍斎(じゆんさい)打諾(うちうなづき)これみけるやねめ介。あの法師(ほうし)と武士(ものゝふ) と酒のえんをなしけるが。あまり侍(さふらひ)が酒を過(すご)すを法師 笑(せう) 止(し)がりて飯酒戒(おんじゆかい)の罪(つみ)などいひ立。銚子(てうし)をとらんといふを。侍 こらへず引とむるとて。杯(さかづき)をふみわりし所よと。子細(しさい)らし