翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

新竹斎 5巻 - 翻刻

新竹斎 5巻 - ページ 41

ページ: 41

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き女の男の外に行かよふと聞て。嗔喧(しんゐ)のほのほをたきて 鉄輪(かなわ)の足に猟火(らうくわ)をいたゝぎ。貴布祢(きぶね)に牛の時参りし。悪(にく) しと思ふ女を詛(のり)ころしぬ。一念のほむら猶身をこがし。此川に 入水(じゆすい)し形ひとつの鬼と成て。都鄙(とひ)に往来し人をなやま す。ある夕都一条 戾橋(もどりはし)にて渡辺(わたなべ)の綱(つな)をみかけ。なまめきたる 女に化(け)して。打しほれたりおもひぶり。鴬まがふ声音(こはね)にて 女の独行(ひとりゆく)心ぼそさに暮かゝる道の末 覚束(ほぼつか)なく侍ふ送り て給はらんやと頼む。さなきだにこなたより社(こそ)夕月(いふづき)夜(よ)さし 出てさへとふべけれ。頼むといふをうれしく。こなたへ渡らせ給へ いとおしや御足もうらふれてみえ給ふ。負(をひ)まいらせんといへば。いなみ もせで打おはれぬ。始(はじめ)は軽(かろ)き羽衣のあまつ空にもあがるへ〱 次第におもきふしぎさに。。なづともつきぬいはほならなんと。ふり かへりみるに。忽(たちまち)美女(びぢよ)の形(かたち)をかへ。口耳の根へさけ牙(きば)生(おひ)て。髪(かみ)さ かしまに角(つの)するどなり綱(つな)が髻(もとゞり)つかむて虚空(こくう)のぼるを。空(くう) 中(ちう)にて鬚(ひげ)切(きり)ぬいて。片(かた)うで切。きられて化生(けしやう)逃(にげ)されば。綱(つな)は北野 の廻廊(くわいらう)に立かへりたる年月の。古(ふる)き昔の事ながら。猶 悪霊(あくれう) のわざ多(おほ)〱。此 橋結(はしづめ)になだめて。一 社(しや)の祠(ほこら)になしぬ。されど今 の世迄ふしみ木幡の隣在(りんざい)よりえにしをむすぶ人。橋(はし)の上を 通れば。此 宮(みや)の見いれ有て末(すゑ)とほらずと。遥(はるか)の川 上(かみ)を船に てかよふ事となん。さればかほる大将の妾(おもひ人)浮舟(うみふね)の。此さとにおは せしを。ちかきほどに京にむかへ給はんと宣ひし比。兵部卿(ひやうふきやう)郷の宮 のうしろめたき蜜事(みつじ)におもひ侘(わび)て。浮舟此川 瀬(せ)に身を沈(しづめ)