翻刻
一大 臣(じん) 黍(きび) 一いよが隣(となり) 粟(あは) 一手を以て奉る 大角豆(ささげ) 一 悪相(あしやう) 小豆(あづき)
一 鮹(たこ)ずり 大豆(まめ) 一 押領(をうりの)使侍 蘿蔔(だいこん) 一うなぎの卵(たまご) やまのいも 一 出家(しゆつけ) 牛房(こぼう)
一物しり 苣(ちしや) 一不 動(どう)の煙(けふり) 胡麻(ごま) 一 風前(ふうぜん)の灯(ともしび) 芥子(けし) 一 売(うり)すそ 葛(くず)
一毛 ふ 一いまやう 豆腐(とうふ) 一 破(やぶ)れ物 酒(さけ)
かくのごとくさら〳〵と書 付(つけ)使(つかひ)に戾(もど)しけり作者(さくしや)は日を経て。枕(まくら)を
二三十もくだきたるに。筍斎(じゆんさひ)が頓作(とんさく)今更(いまさら)に又 我(が)をおる
二 口の広(ひろ)きが勝(かつ)秀句詰(しうくづめ)
ある時又河 者(もの)のわざにや。筍斎か家に狂歌して張(はり)付る
なり下るはては茄子(なすび)の尻(しり)しきよ茶(ちや)入のうはぎ身のせばきより
始末(しまつ)落着(らくぢやく)したる方はなけれど。推量(すいりやう)するになすびの尻(しり)しき
とは。へたといはんため計なるべし。茶(ちや)入のうはぎ身(み)のせはきは
薬が廻らぬといふ事ぞ。いで返歌して閉口させんと茄子茶入の二
種をわけてよむ
病人を無事になすびのみもち上わる口いふそへたの皮なる
せばくても世間の人はひさうしてなでさすらるし茶入也けり
と猶(なを)自慢す。又ある日さるおどけもの筍斎を当惑(とうわく)させんと作(さく)
病(びやう)を拵(こしらへ)万(よろづ)透句(しうく)にして。おこがましくあなひ乞。卒爾(そつじ)ながら
某(それがし)はうんすん町の者で御ざるといへば。筍斎いはしもはてず。う
むすんは。目ひとつ。神田(かんだ)の人かととふ。左様てごさる。りやうぢを御む
しん申たい。持病(じびやう)に昔(むかし)の諚(おきて)を持ました斎せんきが有じや迄男ちか
き比よりふとんに枕(まくら)といふ物を煩(わづらひ)ました斎よこねが出たの男
それに筏(いかだ)をよほど呑(のみ)ました斎いや下し計(ばかり)ではなをるまひ男されば
【参照資料:国会図書館デジタルコレクション>浮世草紙刊行会叢書>第1巻>新竹斎>巻之五-二 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953502/194詰