翻刻
【右丁】
、けしもち、みそ汁にて用しぼりはらにもよし○禁口痢の水薬口にいらず危きものは
、酢、をせんじかますべし又釜にゆをわかし、烏梅【注①】、一斤入てこしゆすれば食気出る妙方
○小便つまりくるしむには 肥後藩竹原勘十郎伝
、地膚子【注②】、《割書:はゝき|のみの事》十匁をせんじ用て妙○、たにし、をすりつぶし、五八霜【注③】、少入れてへその下に
はるべし○ねぎをにてこし湯すればそのまゝつうず妙
○あへぎやまひ《割書:ぜんそく|の古名》並にしやくりの治方 長崎彦七伝
、ゆずりは、かげぼし粉にしてさゆにて用妙○、鯉、の黒焼又なめくじ、ほし粉にしさゆにて用てよし
しやくりには、しやうが、のしぼり汁を背【脊】中にぬるべし○、白なたまめ、の粉を舌の上におけば止む何も妙
△婦人乳くさ並乳岩の治方 豊前彦山下伝
、地膚子、《割書:はゝき|のみの事》実も葉も炒黒くし酢にてときぬり付内にもかんざけにてゑふほと用べし
【注① うばい=梅の実を干していぶしたもの。】
【注② ぢふし=掃帚(はわきぎ)の果実の漢方名。煎じて強壮剤、利尿薬などに用いる。】
【注③ 「ごはちしも」或は「ごはっそう」とも言う。マムシを黒焼にして粉末にしたもの。横根(よこね=鼠径リンパ節の炎症性腫脹をいう。性病の時のリンパ節腫脹をさしていうことが多い。)の治療薬。】
【左丁】
乳一切のくさの初発に此方を用れば乳岩と成る事なし名方也○乳岩には、蜥蜴、《割書:とかげ|の事》すり
つぶしつく妙○、竹の皮、なすびのへた土用にとり各黒やき等分、しほ、少入ごまの油にてねり付妙
○しもやけひゞあかぎれには 奥州仙台民間方
しもやけには、しやうが、のしぼり汁つけて妙やぶれるものはなまこ付てよし○あかがり【注④】には
、あかぎり草【艸】《割書:山らん【注⑤】|のこと》、ねをほどむし【注⑥】にしてねり付る○、くし柿の種、黒やきそくひにねりあかゞりに付け妙
○うかみやまひ《割書:はれやまひ|の古名》には 井上交泰院伝
、椒目、《割書:さんせう|のみの事》を炒てせん薬一ふく程加入てのむ妙○、にんにく、いほすき、《割書:やまごばう|の古名》、あけびかづら【注⑦】、
、しやうが、冬瓜、の実各十匁袋に入あづき一升【舛】に水二升入たきて薬をさり、あづき、をくらふべし
妙○、あづき、炒二匁大むぎ、炒、地膚子、《割書:はゝき|のみの事》各一匁しやうが入 煎(せんじ)用へし○はせを、
のねをせんじ用て一切のはれに妙○酢にて、そは、粉をねりはれへつくる日に二度奇方也
ゝ【注④ 「あかぎれ」のこと。】
【注⑤ やまらん=春蘭。】
【注⑥ 火床蒸し=ぬれ紙に包んだりしていろりの熱灰の中に埋め、蒸し焼きにすること。】
【注⑦ あけびの異名。】