翻刻
【右丁】
○一切の痰りういんには 京都真田氏伝
たん症の人は常に、くるみ、と、しやうが、を粉にして用○、へちま、の黒やき、なつめ、のにくにて丸め
さゆにて用○、青梅、を沢山にすりしほり汁を天日にほしかき立ねりやゝの如くなる時に、甘
草【艸】、五分一を入てねる也一切のたんりういん並にくわくらん気付くすり也ねつ病にもよしたんにも
痛むと思ふ所へはりていたみさる事妙けんへき【注①】のはりいたむにもつけてよし
○すはぶきやまひ《割書:せきの|古名》の治方 阿州津久井氏伝
、南天、の実をかげぼし黒やき、白ざとう、にてねりさゆにて用妙○、黒まめ、水にひたし皮を去
粉にし、玉子、にてねり○丸め廿粒宛用○、枇杷、の葉の毛を去り水にてせんじ用あめを加れば弥妙
○むなかへりやまひ《割書:かく【注②】の|古名》並に噎反胃の治方 甲州郡内民間伝
、野蒜《割書:のひる|の事》の黒焼粉にし一匁早朝さゆにて用○四十年以上の家の東向のかべ土を極細末
【注① けんぺき(痃癖)=頸から肩にかけて筋のひきつり痛むこと。】
【注② 膈=今日の胃癌にあたるという。】
【左丁】
さゆにて用四十年以下にては効なし○老人のむせやみには、うしのよだれ、をひそかにさゆに入のますべし
○はや疔日はれの急症には 土州刈谷氏伝
はや疔には、五八霜、桜の皮黒焼各等分こまの油にてとき付て妙○日ばれの青筋い
でゝ苦(くるし)むものは其あらはれたる筋をはねきつて血をいだせばよし名方なり
○無子婦人の子をまうくる名灸並に治方 淡海氏家方
婦人の口の寸をとり三ツに折三角にしてその角をへその真中にあてゝ【△図の上角に「へ」と書き、下辺両端に●を付ける】両角に毎月頭
に五十壮づつ灸すべしこしけづき虫にも妙○牛の、陰茎(たけり)、を味噌汁にて寒三十日用べし妙
○産後そりやみ並に破傷風の急症には 総州津田氏伝
産門より風入てそりやみ苦(くるし)むには、のゝゐ、《割書:荊芥|の古名》の穂を粉にし五匁さけにて用○金瘡【注③】
ならば疵口に川えび《割書:白く小き|ものよし》を水少入てすり疵口のまはりにぬり付べし妙方也
【注③ 切り傷。刀傷。】