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翻刻
之を聴かす詐り多き汝が言を爭でか信ずへけ
んや若し再び汝を許さば其時こそは余命は汝
の為めに失はれん汝の余を遇するは希臘(グリーキ)王が
醫生 銅盤(ドウバン)を遇したるに善く似たりいで其物語
を語らん
希臘王並醫生銅盤の傳
昔し希臘に一王あり久しく癩病を患ひたるに
在庭の医官は云に及ばす國中の医師尽々秘方
を探り夙夜( |よるひる)心を苦しめて治療を施せども一毫(つゆばかり)
も效験(しるし)なく匙を投し手を引きて治術なきを嘆
現代語訳
これを聞かず、「偽りの多いお前の言葉をどうして信じることができようか。もし再びお前を許したならば、その時こそは私の命はお前のために失われるであろう。お前が私を扱うのは、ギリシア王が医師ドウバンを扱ったのとよく似ている。さあ、その物語を語ろう。
ギリシア王並びに医師ドウバンの伝
昔、ギリシアに一人の王がいて、長い間ハンセン病を患っていた。宮中の医官は言うに及ばず、国中の医師がことごとく秘方を探り、昼夜を問わず心を苦しめて治療を施したけれども、少しも効き目がなく、さじを投げ手を引いて、治す術がないことを嘆いた。