← 前のページ
ページ 51 / 104
次のページ →
翻刻
めよと命じ漁夫には黄金四百両を賜はりけれ
ば漁夫は未だ斯(かゝ)る大金を得たることなければ若
しや夢ならんか夢ならば永く醒ざれと祈りつ
ゝ先づ試みに市に入り物を買ふたる後初めて
其夢ならざるを悟り歡喜言ふべからざりし却(さて)
説(また)厨婦は宰相の命を受け鱗を去り膓を抜き清
水に洗ひ鍋に油を澆ぎ火に上せ既に下面 炒(や)け
得て十分ならん返して之を炒かんと返し卒る
や卒らざるに忽ち見る厨壁左右に拆(ひら)けて入り
来る物あり厨婦驚ひて之を見れば入り来る者