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翻刻
は一婦人にして身には花卉( |はなは)を華麗に刺繡(ぬひとり)した
る絲緞( |しゆす)の上衣を穿ち頚環( |ゑりわ)指環は大なる眞珠を
以て作り紅宝石を嵌(はめ)込たる黄金の臂釧( |てくびかざり)を貫き
手に一條の杖を執りたるが淡粧濃抹相宜しか
らざるなく眞に天人ならんかと怪まるゝはか
りの容貌あり彼美婦人は徐々と鍋の邉に緩歩
し来り其杖を擧けて一魚を鞭ちなから魚よ々
々汝尚ほ舊#1約を固保するやいなやと云へども
其魚黙したれば彼女又問ふこと初めの如し其時
四魚齊しく首を擧け唯々( |はい〳〵)若し汝尚ほ記臆せば