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后は歸り来り王の鼻に香氣ある物を當つれば
王は忽ち睡醒るなりと語りたる時余新たに眠
り醒めたる假態(おもゝち)して眼を開きければ侍女等は
口を閉ぢたりさて余が妻は沐浴より歸り来り
晩餐を果て卧床に就かんとする時 例(つね)の如く自
から一杯の酒を持来れは余は其杯を把りなか
ら庭面(にはもせ)を觀る假態(ふり)して密に之を窓外に溉(そゝ)ぎ了
り一滴も餘さす飲盡したるを示さんが為め特(わざ)
と其杯を吾が妻に還し與へて直ちに卧床に横
はり熟睡せるふり做せしかは吾が妻は。やがて