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入りたる時余は此門にて留まり暗夜なれども
眼を凝(こら)して覗(うかゞ)へば吾が妻は林の中に歩み入り
たり其林は密樹をもて生籬(いけがき)とし門外より進み
近づくべければ是れ幸ひと路を違へて門外よ
り茂林に達し籬外に身を躱(かく)して覗ふたるに吾
が妻は一個の男と伴なふて行々物語るを聞け
ば妖術をもて土地人民を㓕絶し二人して憚る
處なく世を送らんことを計るなり是時余怒りに
堪へ兼ね劍を㧞き持ち躍り入り其男の背を斫
しかば其男は苦(あつ)と一聲叫びたる儘忽ち仆れた