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キ 正月古事談 《割書:寛政九巳|三 板》 《割書:京伝| 》【正月故事談】
春雨ふる日京伝の序に兎角先生亀毛真人両人とひ来て物かたる世の中の人情さま〳〵
おしへになる事共をおかしくかきたりその中にある人ゑひの絵をかいて其上にしるし
て曰 ひげ長く腰まがるまでいきたくは酒をのますにひとりねをせよ」又
もろこし秦の代に古き器ものを好み千金にかゆる人あり魯の哀公といふ君孔子に
教へを聞んと新らたに敷給ふむしろあり田地を売て是をもとむ又むかし周の
大王北狄の難をさけ邠(ヒン)の国を去る時つき給ふ竹のつえあり家財を売て是
をもとむ又舜王はしめてうるしを製し給ふ時のうるし□□□の椀あり家屋敷を
売て是をもとむ三色のめつらしき器ものはもとめたれ□家屋敷家さいなけれ
はせんかたなし身には哀公のむしろをきて手には周の代の竹杖をつき舜の作る
かけ椀をかゝえて乞食となりまだしも古き物を好み□古銭があらは
くだされとこひけらし事文類聚別集にみへたり
新千載集の哥に人の子の親になりてそ我親の思ひは□□□□ひ知らるゝ
ある人大黒をまつり福をさつけ給へといのるゆめに□□□をさづけ
給ふたる事を知れの教へ也なとおもしろし
キ 桃太郎大江山入 《割書: |三 西村板》 《割書:慈悲成| 》
巻首に いつの頃だか此たねを蒔そつ【め】てとし〴〵さくを□□桃太郎 慈悲成」
トアリ
此うたおもしろし 桃太郎いせさん宮に出るをはじめとしす□森【すゝか森=鈴ヶ森】にて色々の
犬をひといめにあはせる事品川よりついてきたむく犬が《割書:ばんずい長兵衛のみえ| 》ともをする事それより勇力を
みせていのしゝ猿をともにする事たひ宿にてとうそく【盗賊】□ひといめにあはす牛
わかのみえそくのかしらが熊にてこれをみかたにつける事□いせさんくうして御つげ
をかふむり大江山の飛(ヒ)つてんどうしといふかりうとをたい□□てとりけものゝなんきを
すくふ事をかきたり
おもしろきしゆかう也
キ 花 ̄より団子 食家(クイケ)物語 《割書:寛政五丑|三 大和田板》 《割書:巻尾に 曲亭馬琴述| 京伝校 トアリ》【花団子食家物語】【コマ136】
易牙が美味には斎公の腹を肥し作者の意味には書肆の口を養ふされは花の樹
梢(ズヘ)の色気あらんより月の団子の喰気にはしらすと一日(ヒトヒ)硯蓋を闓(ヒラキ)て頓(トミ)に不塩
梅なる筆(フデ)すさみをなす幼童もしくは鱠の権(ケン)を賢としてその本膳の善に勧
まは将(ハタ)勧膳の箸ともならめと手まへ味噌ずの鹹(シホカラキ)をもて独すましの吸口