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翻刻
紀州室の郡【牟婁郡】にまなごいつうと云医ありて婦人流産の薬を出すを
ほつたんとし其子庄司殺生を好む事その妻葉山のあしへ蛇
まとふ事あり其月ゟ懐胎して娘をうむ事その娘の名をいさゝめといふ
めつそうの喜六太と云ものいさゝめに恋暮【慕】の事いさゝめ山伏安ちんを恋
したひ其跡を追かけ大蛇となる事安ちん道成寺の僧のなさけにて大はん
にやびつに【大般若櫃に】隠れて鐘《見せ消ち:の|を》おろし安ちんか隠れしさまにしていさゝめをたば
かる事大蛇鐘を巻て湯となす事安珍危きをのかるゝ事を
しるせり」此の冊子の書入れにその頃の役者の名みゆ山下金作市村
亀蔵か名あれは寛延宝暦中のものなるへし
【欄外に】未新版
吝坊(シワンボウ)竹 ̄ノ子 諍(アラソヒ) 《割書:クロ| 》二《割書:つるや板| 》 《割書:作名ナシ|富川房信画》【しわんぼう道無】
しわん坊道無と云《見せ消ち:悪僧| 》《見せ消ち:ま|ど》ん欲深き僧おのかるすにとなりのあるしか
竹子をぬすみしをいかる事どろ田の悪蔵といふかりうどしわん坊を殺し
金をうばふ事その亡霊悪蔵をくらひ殺す事なと又しわん坊か
すみし処に其亡霊出人をなやます事團次右衛門と云らう人こ
れしづむる事をしるす
《割書:本草|綱目》春霞清玄 凧(ダコ) 《割書:クロ| 》三 《割書: |鳥井清経画》
時代は太平記也長沼介惣太夫といふもの悪事を工むをほつたんとし
高師安の家臣赤松長谷雄病気に付清玄と云僧《見せ消ち:きとう|薬を》あたへて平ゆ【平癒】
する事清玄いもりの酒をのみて心乱れはせをの《見せ消ち:母|娘》さくら姫にれんほの
事はせを家来の介惣太夫に殺害される事清玄介惣太夫にたのまれはせをの家
宝花形の茶入をすりかへる事さくらひめをうはふ事赤松の下部角平
にころされる事桜ひめ清玄だこをみて病気となる事高野山の木食
ひじり円(ゑん)しん角平か人めんそうを治する事女ひにんおちら木食の下女
となり懐にんの事
となる事介惣次【次は衍字か】だ長次のわるもの円心をむしつの罪をいひかけたる事
介惣 次【衍字か】刑せらるゝ事三木の丞桜姫ふうふになる事をおわりとす
傾城嵯峨物語 二 《割書:丈阿作| 》