翻刻
【右丁】
ゆふかけかたちのごとく。伝宇須。しゆごしたまふ
あいだ。しんみやうはつゆちりほども。おしむべからす
伝宇須の。みのりをきく人は。大かいのそこの
かねをひろい。一 眼(かん)のかめの浮木(ふぼく)に。あふより。なを
まれなることゝ。したゝかにほめられて。まん
そくしまことに。ほとけになるそと。おもひさた
めて。火(ひ)あぶりにあふも。うしざき。くるまさき。さか
はりつけ。かやうのなんにあふが。のそみのかなふ
成仏(じやうぶつ)とこゝろへて。いのちをいとひ。かなしむもの
なきとみへたり。あはれなることゝもかな。ちゑ
【左丁】
のなきものは。をのれが。みゝに。きゝいれこゝろに
おもひさためたることをば。かつてひるかへすこと
なし。たとへは。二三 歳(さい)のわらんべが。かゞみのうちの
かたちをみては。まことのかたちとおもひ。水中
の月をみては。ゑんこうが。てにとらんとおもふ。をろか
なるこゝろと。ひとしき物なり。ぐにんはみな
かのごとし。げどうのほう。まほうなるべし