翻刻
【右丁】
近江国(あふみのくに)安土(あつち)へ伴天連(ばてれん)召寄(めしよせ)らる事
平(たいら)の朝臣(あつそん)。織田上総守(をたのかつさのかみ)。信長卿(のふなかけう)。天下をほしいまゝに
ふく風のさうもくを。なびかしたるがことく。東(と)
夷(い)なんばん。ほくてきせいじうこと〳〵く。うち
ほろほしたまひ。天下 平均(へいきん)して。あふみの国。安土(あつち)
といふところに。城郭(じやうくはく)をしつらい。ふつきのよ
そをい。かんようきうも。かくやらんあるとき。
御よばなしのをりふし。かのうるがん。伴天連(ばてれん)が。う
はさをきこしめして。いそきみたきよし。おほせ
いたさるゝ。すなはち。菅谷(すけのや)九右衛門丞に。おほせつ
【左丁】
けられさとをくりにして。安土につく。二三日
ありて。御礼にまかりいつる身には。あびとゝ
いふものをきたり。このあびとゝ申ものは。もうせん
のごとくなるものにていろはねずみいろなり
しが。そでながく。すそはぢかりにして。さながら
かうもりのはねを。ひろけたるににたり。さて御
礼に。まかりいつるに。日本国の。大名小みやう地(ち)
下(け)町人。きゝつたへ〳〵。ぎをんのゑ。さんわうまつり
などのやうに。けんぶつをしわけられす。すな
はちしんもつには。てつほう十 挺(ちやう)円金のめかね。八 畳(でう)