翻刻
【右丁】
なれは。かりにいんへるのといふところ。地(ち)の下(した)くら
き中に。鳥獣(てうじう)のかたちをうけて。くるしみを
うくる。またをしへにたかはさる。しゆじやうをば。
《振り仮名:波蘿夷■雲|はらいぞう》【注】と申て。これより天上に。あんらく
げらくへ。とびゆき。じゆうじざいのところへ
むまれるを。《振り仮名:波蘿夷■雲|はらいぞう》といふ。すべてしゆじやう
のきより。八 苦(く)八なんあり。伝宇須は。初(はしめ)も今(いま)も。
利益(りやく)不同(ふどう)なし。たとへは。おやの子をもうくるに。
あしかれとおもひて。そたつるはなし。せいじん
して病(ひやう)人も。ふかうのものも。ぬす人もあるがことし
【左丁】
あながち。伝宇須(でうす)に。あやまりなけれども。しゆじ
やうのき。まち〳〵なれは。あくにんをば。ふかくにくみ
たまふ。でうすの。御をしへに。ちかはぬと云は。こびさん
と申てほとけの。御まへにまいりざんぎ。さんげ
して。みらいのたのしみをいのる。くはりずと申て。
日本のかんきんといふがごとく。きやうをよみ。むね
をほと〳〵とたゝく。これはむねになにのおもひも
なし。伝宇須。三太丸やを。一すちにあかめ。たて
まつるといふ。仕形(しかた)とみへたり。つぎに天をみあげて。
ゆびをさし上るこれは。天上より。此かいをまもり
【注 「波蘿夷坥雲」ヵ。但し「坥」の読みは「シヨ」。「paraíso」の意と思われる。】