翻刻
正兵へよふ〳〵
やどにありつき
ばゞアひとりの
しんだいには
おもひの
ほかのおふ
ずまいもはやさいぜんより六ぶと
みへてとなりざしきにふたりこれも
くたびれたとみへてしらかはよふねの
たかいびきとまるおりにばゞアがたいじやう
ごい【怠状乞い→脚注】かならず〳〵わしがよぶまでこまいぞ
のぞくまいそといつただけうすきみわろく
ひとつやにばゞアはあさくさにためしもあり【注】
あだちがはらにはところがちがふたゞしはでたなり【但しは出たなり:安達が原とは違うものの婆あが出た】
なんにもせよのぞくなといつたが
こゝろにかゝりくたひれたは
ではへり【入り】ゆきふすまのすきま
からのぞいてみればまきはり【薪割り】
にてにはをほぢくりふくろ
から【袋から】そはをまきみるまに
めをだしたちまちはなも
さきひきうすをいごかし
まわ
す
うちそばは
あかるみ【白くなり】から〳〵と
こ【粉】になればいかさま
みるなといふはづ
たけだのからくりでも
かふいくものではない【こういくものではない】
けうけげんな【希有希見な=稀に見る(妖怪の名前でもある)】
ことだとおもひ
いるうちおふきな
やきもちにこしらへる
ゆへいよ〳〵いきを
ころして
のぞきみる
【注 『南総里見八犬伝』に「浅草一つ家(孤家)」として登場する「浅草浅茅ヶ原・姥ヶ池伝説」を指す】
【怠状乞い:怠状は謝罪文のことです。怠状乞うというのは「あやまれ」としかりつけること。ここではきつくいましめるという意味で使われています。それを破ればただじゃ済まないよ(謝罪文が必要な状況になりますよ)と叱りつけているわけです。もちろん慣用句なので本当に謝罪文を要求するという意味ではありません。】