翻刻
【右丁】
てつとりばやに
そばやきもちを
三もんどりや五もん
ぐらいといふことては
なくさては【脚注】のもち
ぐらいにたつた四つ
こしらへ せんに【先に】とま
つたふたりのものを
おこしやれ〳〵といつ
てもくたびれはて
むりやりにいすぶり【揺すぶり】
おこしこなたしゆは
よいとしをしてねぼ
けることは?ないまた
くつてからねさつせへ
とかつて【勝手=台所】へよびれいの
やきもちふたつづゝ
だしけれはねむさも
ねむいがめがさめて
みればおふきにはらも
きていればふたりながら【=二人とも】
むざ〳〵
とひとつ
づゝしてやり
【左丁】
ひもじいときのまつい【まづい】ものなし
ふたつながらへろりとしてやり
ばゝアがごろはちぢやわんて
ちやをくんでだしだん〳〵にのどが
かわきもふいつはい〳〵とひと
ちやがまそこをはたき【、】これは
ちやではいかぬみづを
ひとつたのみますと
いへばふたりを
にわへおろし
たら
いへ
みづを
あけてやれば
よく〳〵のどが
かはくとみへて
がぶ〳〵〳〵いくらも〳〵
のめばたちまち
ふたりともに
むまになり ひい
ひんといふぞ
おそろしき
ことなり
【左丁 下段台詞】
さ■■と【さあたんと?】
のん
だ□【だり?】
【脚注 ◆「さては≒それでは」と読んだ場合: 五文取/ごもんどり=一つ五文の餠(駿河名物・安倍川餅など)から、「一つ三文の餠や五文のそれなど、食べ応えのある餅ならまだしも、それではと待ち構えている餅好きの自分をつかまえて、たった四つぽっちなら、と先客に譲る気持ちで」との叙述と類推。◆「さては≒たては」と読んだ場合:翻刻案A: 宿場間にある茶屋付きの休憩所、立場(たてば)で出るような餅という意味で「休憩所でお茶と一緒にちょっと出す、料金をとるほどでもない餅」の意味か(そういうサービスがあったかどうかは未確認)。翻刻案B:「建場(たてば)の餅=上棟式に家の四隅にあげるお供え。ゆえに数が「四つ」。ネット情報では一升~五合位の大きさとされる。この場合は「建場の餅喰らい≒餅にかけては札付きの大喰いの自分に」の意となり、前の二つとは解釈が異なる。