翻刻
【右丁】
表(そと)に発(はつ)す発(はつ)して解散(りさん)する時(とき)は熱(ねつ)と毒(とく)と
相離(あいはな)れて肌表(はたへ)に結痂(ふたむすふ)すこれを順(しゆん)といふ熱(ねつ)
毒(▢▢)相連て六経に伝(つと)ふるを内攻(ないこう)といふこゝに至
りては名医(めいい)良工(りようかう)と云ふとも救(すく)ふへきの術(しゆつ)なし
こゝを以 痘(とう)はあらかしめ防(ふせ)くへき事 専要(せんよう)
なり人事(しんじ)を尽(つく)してのち不及(およはさる)ものは誠(まこと)に
天命(てんめい)なりしからすして倒(たを)さるゝものあるは
豈(あに)痛(いた)ましからすや
【左丁】
古より痘病(とうひやう)有て痘神(とうしん)なしと云へとも我邦(わかくに)の
風俗(ふうそく)にてこれを神(かみ)に祭(まつり)新(あらた)に檀(たん)をもふけ
七五三(しめ)を曳(ひき)紅色を以これをかさりもつはら
紅衣(かうい)を用ゆ肌膚(はたへ)は紅(くれない)にてりては鮮(あざやか)なり故(ゆへ)に
随(したかふ)ふ【衍】へし又種々のいみ事ありしかりと云へ
とも其(その)症(しよ)をさまたけす故にその家々の嘉例(かれい)
に随ふへし又 病児(ひやうし)の機嫌(きけん)よしあし有り
神符(かち)祝方(きとう)は症をさまたけす故に又用ゆへし