翻刻
へき今にも一身撮み裂るへしと苦患堪か
たく狂気の如くして有けるかしはらくして雨晴
電光止ぬ爰において懺悔して己か不孝にし
て父母の遠行を残り多しとせす養家
を継て不行跡の科あり今我路途に迷ふ
とて身儘にして再家に帰らん事を欲す養
母憤りて免し給ハす是畢竟己か身を
恨むるより他事なし妻子なくは剃髪して
菩提心を発し若不幸におちいるへき若気
もあらは此一条を談合もせはやと心痛
しきりにして是を悲む痛ましきかなそれ
より此かた風雨を怖れ物に驚く事骨髄
に染込て遁るゝ事を得す是則己か病根
にして驚痛の恥を発し療養を加ふと
いへとも治しかたく脳める事中に語るも恥
へき事なりけり爰に己か娘順は養母の