翻刻
村々多しいつれも市町nに弁利ありて炭薪
麻木綿雑穀を夥敷商ふ北海へ纔十五
六里を経て朝夕に生魚を得流水にすめる
ものは名たかき千曲犀の両川より手をうつて
走り井の本に呼田畑ともにニタ毛を耕作
するの徳あり其外山海の魚鳥四季の野菜
もやし青物のたくひは呼声終らせるうちに鍋に
入り三ッ子といへとも料理を味ひて生死の蒲
焼を知る形の大なるを重しとし小魚の軽を好とす
就中化物織ものやくひ諸国の新製新
形をこのみ実に諺に京に鄙ありといひつへし
しかるか中にも当所はいふも更なり東南西北の
駅路近辺まても利潤格外にして参詣群集なるは
一山の中に常念仏堂あり七八ヶ年の程を
経て五万乃至六万の日数を積りて惣回向
ありまた血縁のため前立本尊御開帳にり
尤累代の例によりて三月十日より四月三十日まて
日数五十日の間其賑しき事山国辺□にはまた
珍らしといへとも世に仏都と唱ふるをもつて
疑心を発すへからす凡累例の式作法をはしめ