翻刻
として御登城ありけれとも御許容なし
因兹御回向は空しくなりしといふ此時予も
松城にありしか御城下町は更なり御家中に
おいてたふ其取沙汰専らなり予も心を痛
帰る路すからも其説よち〳〵なり帰りても
なは是を同ふに最早建札は引ぬる事を
取沙汰する事多かりけり其虚説にして
所にたらすといへとも爰に三月二十四日既に
御回向盛にして諸国参詣の旅人幾千人と
なく一時に命を爰に群死は疑ふらくはかゝる
大災の前表にもありけるにや
○弘化三年午の十月朔日終日悦晴にして二日
雨降る三日天気にして四日終日雪降五日
終日雪降り午の半刻より雪大いにして
寒気尤厳なり酉の初刻雷鳴夥しく
雨戸障子の内まて其光りすさましく
心耳を驚す事尋常なり奈何大寒雪
中においてかゝる変事有事実に陰陽
昇降の遅速によるなるへきや予日記に
しるし置たるをかゝる大地の震ふ事をおもひ