翻刻
下しをやけき月は浪のうね〳〵に光りを
うつし初秋告る雁行かふ鴨いつれかあ
はれならさらん千曲犀一川になりて北海に
流れ名物の川鮭此辺に漁り一瓢を□の
るもまた面白く夜行には吹上の石燈籠
を見当に旅の労れをわすれはやくも善光寺
にいたりぬるかと宿入馬の鈴の音色も面にく
馬士うたにつれて
荒木村をすくれは中の御所むらあり昔時
征夷大将軍頼朝公建久年中善光寺
参詣の刻仮御所に定め給ひしゆゑに
字とせり爰に大将軍守仏髪の馬
頭観世音政子御前の守仏正観音
弘法大師御作地蔵尊安置の御堂あり
これより三丁程歩行て石堂村あり
かるかや親子地蔵尊の古跡石堂丸の
因縁によりて字を石堂村といふとかや是より
御本堂まて左右に家を建つらねて
【道標】
荒木村
従是北西 御代官 川上金吾助支配所
【道標左】
中之条御在陣と可知