翻刻
謙信塚といふこと不忠至極の有坂也
此崎より根来の里とやらんに船にて渡
せしに冬のならひとて俄に浪風あらく
雨しきりに車軸を流せは船中■■さ
わきて
魂も■自になりて一時雨
惣して此礒伝へ志賀浦根来香嶋とて浦半の詠
言語にも断したる風景也
又香嶋村は乙崎ゟ壱里半あり礒山に鹿島大明神の
社あり北の谷内に要石とて異なる大石あり則香嶋の
浦とて名所にて万葉の哥に
香嶋より熊木をさして漕舟の
かぢとる間なく都路をおもほゆ
乙ヶ崎ゟ弐里廿四町本馬七十七文軽尻四十七文
曽福 人足廿弐文家数三拾軒計
此村の後に当つて高山見ゆは留木の釶打山也此所ゟ
は近し東平此村の領也鳳至鹿嶋羽喰の三郡の境