翻刻
かたきに湯の薬師堂は村の後なる山にあり此尊像
を横になし奉れは湯忽ちに潮となり熟き事なし
普請仕廻尊像を直し奉れは又湯脇だし湧出て常の
如しかゝる奇瑞あると難有事也折傷の類ひ瘡
毒抔は治せすといふことなし霊場也所口ゟ和倉へは陸
地は弐里あり間に祖浜石崎松百津向抔と村々有
石崎村は少高にて加越能の海を釣指調抔して
海上を家にしてかせく也公領也曽浜村も公領也
宝屋とて能き百姓有松百村は私領也蛇の酢とて
名物ありがうなといふ貝の鮓也入海に渡せる橋あり稀
にして橋場風景也此入海の奥に直津村とてあり
此氏神は海ゟあかり給ふ大石也少彦命の像石といへり
此村ゟ所口往還へ出るに近し又所口へ松百村ゟ行は浜
伝ひ津向村を経出る也
誰をしも松百の里に千代かけて
海にわたせる橋のかよひ路
又田鶴浜ゟ金沢にの往来西海道又は能登郡海道とも
いふて往還也是を海道と唱へるは往古能登の国は