翻刻
寺と号よし又此村ゟ三室村へ弐里あり福浦吉野
間と三ヶ所へ別て有村也此福浦ゟ向嶋の路
日出ヶ嶌村へ小口の渡りとて半道有舟賃壱人三分宛
なり宇出津等への往来也此辺の風景げ言語にものへ
かたし向の嶋の路を淡路嶋と思ひ三室七尾の□【礒?】
を須磨明石に疑すとおとる間敷なり万葉に
能登の海に釣する海士のいさり火に
光にいませ月待かてら
又鹿渡嶋とて有此三室村の領也此灘の尾なるゆへ
角嶋といふ事也此崎を廻れは中山の郷抔とて灘に
拾三ヶ村有越中氷見へ出る也此角嶋に観音有霊験
ありて龍燈折〳〵有椿森とも椿寺ともいふ坊寺
観音院とて有礒に船の懸り間あり水石の名物也
此所を廻り灘伝へ村数拾三ヶ村の内八ヶ村公領也所口
より氷見迄は此灘廻りして十壱里あり難所いわん
かたなし黒崎村に火打石の名石あり今は御留め山
也又鵜浦村は一ノ宮の鵜まつりの鵜を取て捧るなり
鵜田とて神地有当屋の者田を作り鵜を捧るなり