翻刻
を用(もち)ひて腹(はら)の内(うち)を清潔(せいけつ)【「キレイ」左ルビ】になして壅滞(ようたい)【「トヾコヲリ」左ルビ】なきよふにするを避疫の
尤(もつと)もよき法(ほう)となすなり此薬(このくすり)には大黄(たいわう)二匁(にもんめ)覇王塩(はわうゑん)一匁(いちもんめ)《割書:下にい|だす》白石(はくせき)
鹸(かん)一匁《割書:下にい|だす》の割(わり)にて先(まづ)大黄覇王塩を粉(こ)となし石鹸を交(まじ)へ糊(のり)
にて丸薬(くわんやく)となし一/日(ひ)に懸目(かけめ)五分(ごふん)ほどづゝ用ひて一日に二度(にど)ぐらい下(くだ)る
ほどになし三四日(さんよつか)も連用(れんよう)【「ツヽケモチユ」左ルビ】すべし若(も)し/又(また)田舎(でんしや)にて右(みぎ)の薬(くすり)買調(かひとゝの)へがた
く拠(よりところ)なき時(とき)は大黄二匁/芒硝(ぼうせう)一匁右/粉(こ)となし糊にて丸薬となし
又は粉薬(こくすり)となし用(もち)ゆるなり又/三黄丸(さんわうぐわん)芎黄散(きうわうさん)などにてもよし
服量(ふくりやう)は人(ひと)の性(せい)によりて五六分(ごろくふん)も用(もち)ゆるなり凡(をよ)そこれを用いて外(ほか)に
不養生(ふやうじやう)の事(こと)さへなければ多分(たぶん)は疫熱に染(そま)ぬものなりたとへ萬一(まんいち)これ
に染(そ)むも多(おほ)くは軽症(けいしやう)にして死(し)にはいたる者(もの)なしとす凡そ凶年(きやうねん)の
後(のち)に疫熱はやるは皆(みな)麁飧(そぞん)悪食(あくじき)のために腹中(ふくちう)に/汚物(をぶつ)【「アシキモノ」左ルビ】鬱滞(うつたい)【「トゞコウル」左ルビ】し
胃腸(いちやう)【「ハラ」左ルビ】衰弱(すいじやく)【「ヨハル」左ルビ】するゆへに其/始(はじ)めは僅(はづ)かばかりの感冒(かんぼう)【「カゼヒキ」左ルビ】にても遂(つい)には疫熱
となるなり但(たゞ)しこれには大に道理(どうり)あることにて余が著はす瘟(をん)
疫考(ゑきかう)といふ書(しよ)の内(うち)に詳(つま)びらかにすれども/平人(へいにん)【「シロウト」左ルビ】には知(しら)らずしても